El fandango en la frontera

辺境のファンダンゴ。メキシコ在住ライターのラテンアメリカ情報ブログ。

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

ポリテクニコ学生たち5万人による内務省前デモ 

数日前から、メキシコシティのポリテクニコ(メキシコ国立高等理工科学院)の学生たちが、学院の不当な教育内容や専門課程修了資格改編によって立ち上がっている。きちんとした説明なしに、学長のヨロソチトゥル・ブスタマンテが教育計画や規則の変更を行うことを決めたのだ。これによると同学院では、Bachillerato(中学、高校に相当する修了資格のみ)しか取れないことになり、学士号を取れなくなる。背景にはメキシコ政府が、外国企業の工場を誘致するために、安い賃金で働く現場作業員、工員の確保を約束しているためだと、学生たちは訴えている。「学歴が高いと、給料を倍払わなければならないから、とにかく安く動ける人間がたくさん必要になる→だからポリテクニコは職業訓練校だけにする」というのが政府の狙い。


↑ポリテクニコの学生たちが語る「今ポリテクニコで何が起こっているのか」というビデオ

この外国企業というのには、もちろん日本の企業も含まれていて、近年はおびただしい数の日系企業の工場がメキシコの各地を拠点にするようになった。日本の中小企業が人手不足でどんどん窮地に追いやれている状況も知っているし、工場で現地の人を雇用するというのは一見、理にかなっているようにも見える。しかし、その裏には今回のポリテクニコのような問題があるわけだ。
外国企業が利益を生むために、メキシコの若者の将来が左右されるのは許されることではない。だから、メキシコ政府はネオリベラリズムの売国奴だと言われているわけなのだが。

本日9月30日に、うちの近所の内務省(※最初にこの記事を書いたときに内閣府と書いてしまいましたが、それは日本での言い方なので、内務省と訂正しました 2014年10月1日訂正)前までポリテクニコの学生たちがデモをやるというのを知り、これは絶対に行かねばと思った。でも夫にはギリギリまで取材することは言わないでおいた。今まで、デモを撮影していたインディペンディエントメディアのカメラマンや、デモに参加していただけなのに見せしめのために捕まった仲間たちがいる。もしもデモへ行くと言ったら、心配して止められるので、家から出る直前に電話で、「今からポリ(ポリテクニコの略称)のデモに行ってくる」と告げた。夫は、あきれたように「本当に気をつけて。ポリはポロス(過激派)の本拠地なんだから」と言われる。何かあったときに、すぐに走れるように、できるだけ身軽な格好でカメラと携帯と小銭のみ持って家を飛び出した。

確かにポリ出身のポロスは世でとても評判が悪く、ネオリベ志向の人々がこのデモについても「ああ、またポロスがなんか騒いでるよ」と言っているのが目に浮かぶ。でも今回は、過激派主導ではなく、普通の学生たちによってオーガナイズされている運動だと感じる。

メキシコシティの目抜き通り、レフォルマに着くと、独立記念塔から、内務省に向かって、学生たちがぞろぞろと歩いて来た。

poli1.jpg
poli2.jpg

それが、とんでもない数だというのがすぐにわかる。ゆうに1万人以上はいるだろう。皆落ち着いているし、かけ声もばっちり揃っている。

poli3.jpg

「俺たちはポロス(過激派)じゃない!俺たちは学生たちだ!」と叫びながら、数万の学生たちが一斉に学生証を掲げた。
poli4.jpg
poli31.jpg
poli5.jpg


すごいオーガナイズされててビビる。彼らの心の奥からの叫びがコーラスのように揃っていて鳥肌が立つ。そんな姿を見ていたら、なんだか涙が出てきてしまい、こらえる。

監視のヘリコプターが上空を飛び交い、学生たちは上に向かって「クレーロ、クレーロ!(卑怯者)チンゲ・ア・ス・マドレ〜(マザーファッカー)」とルチャリブレ(メキシカンプロレス)の観戦ヤジみたいな言葉を合唱するが、それすらもスゴい一体感だ。

poli6.jpg
poli7.jpg
↑学生の家族たちも応援する

内務省前にはフェンスのバリケードが組まれ、フェンス越しには警察官たちが盾を持って構えている。
P9300065.jpg

P9300066.jpg
右のほうに見える建物が内務省だ。

そのフェンスの前にはステージが組まれていて、壇上ではオーガナイザーのうちのひとりの女性がマイクで群衆に向かってこう言った。「あまりにも人が多く集まって、一気にここまで押し寄せるのは危険なので、少しずつ人をここまで通すようにしている。混乱や暴力ではなく、私たちの闘いが本物だってことを(内務省側へ)示さないといけない。だから、みんな落ち着いて待っててね」。
もちろん、皆静かに待っている。少しずつ、少しずつ、学生たちが集まってくる。暴力的な行動を起こす者は誰ひとりいない。

P9300046.jpg
↑このデモを利用して、食べ物を売り歩く人はもちろん、ちゃっかり社会運動系の本を売る人や、ヒッピーなアクセサリーや、左翼グッズを売る人もいるのが実にメキシコらしい。ちなみに、それを不謹慎だと怒る心の狭い人は誰もいない。

P9300056.jpg
緊急事態のために救急車や、赤十字人権委員会のスタッフまでいた(デモで人権を侵害する行為が行われないように監視する)。準備バッチリ。

そして、「なんと、このデモには5万人が参加している!これは僕たちの団結の証だ」とオーガナイザーのひとりが壇上で発表すると、5万人の学生たちの喝采が遠くからも響き渡った。メキシコの大きなメディアでは参加者2万人と少なめに報道しているが、ポリテクニコの学生やその家族、UNAM(メキシコ国立自治大学)やUAM(メトロポリタン自治大学)の学生も支援のために大勢訪れているのだ。UNAMとポリテクニコは、いつも揉めている印象があったのだが、今回の件で、お互いに団結の姿勢を示し始めている。明日10月1日はUNAMの中央キャンパス内で、ポリテクニコの学生たちを集めた大規模な集会が行われる。

ステージの上からデモの群衆を撮影するプレスの人々を見たので、私も撮影させてもらえないか交渉してみた。撮影にはプレスの証明証と身分証明証が必要と言われたので「私はただの日本のフリーランス・ライターです。どこの新聞社や出版社にも所属していません。でも写真を撮らせてください」とお願いしたら、通ってもいいと言ってくれた。若い女性が、私の背中にこう投げかけた。「私たちが闘っている姿を日本の人々にも知らせて!」。その言葉をしかと受け止めて、ステージに上がり、シャッターを夢中で切った。
poli9.jpg
P9300062.jpg
正直、あまり良い写真は撮れなかったけれど、私の中にはこの無数の若者たちの訴えや、彼らの願いが、痛いくらいに刻み込まれていくのを感じた。

P9300071.jpg
↑内務省から至近距離にある、ポリテクニコの職業訓練校(分校)では、デモに参加する仲間のために、水やフルーツを支給していた。

P9300074.jpg
↑その校舎の壁に貼られた紙には「僕は労働者の息子だ。父は僕に自分が愛することのために闘えと教えてくれた」と書かれていた。

帰宅後、内務省大臣のミゲル・アンヘル・オソリオ・チョンが、学生たちの前に現れ、ステージに上がり「教育計画改編の撤回、現在の学長を解雇させる」といった内容の懇願書を受け取り、それを読んで10月3日に返答すると約束した、というのをニュースで知った。
騒ぎを知ってビビった大臣が登場するところまでもってくるとは、やるじゃん学生たち!......とはいえ、信用できるわけでは全くないし、まだまだ予断は許せないのだが、デモのおかげで巨大権力を威嚇できたわけだ。しかし、本当によくオーガナイズされた素晴らしいデモだった!


↑本日撮影した写真のスライドショー


↑内務省前の様子。動画


yosoy132.jpg
こちらは写真をFacebookのSC#YoSoy132より借りました。今日の空撮の様子。これだとめっちゃすごい人だったのがわかる。

明後日10月2日は1968年にメキシコシティオリンピック反対運動のためにメキシコシティのトラテロルコ広場に集まった学生を中心とした400人以上が政府によって虐殺された日から46年目を迎える。毎年メモリアルデモが開催されるのだが、今回はポリテクニコの運動と重なり、かなり大きいものになるだろう。日本の雑誌のために、取材する予定。


P9300069.jpg

10月2日のデモのポスター。デモは、46年前に学生大虐殺が起こったトラテロルコ広場からスタートする。

関連記事

[ 2014/09/30 18:32 ] 日常と社会 | トラックバック(-) | CM(0)
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。