El fandango en la frontera

辺境のファンダンゴ。メキシコ在住ライターのラテンアメリカ情報ブログ。

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手術入院体験記2 ツタンカーメンと落合の妻のあいだで 

tutankhamen.jpg
ツタンカーメン(写真:wikipediaより)

8月12日 

朝目が覚めると、周りの風景がいつもと違うのに驚くが、すぐに、ああ、私はきのうから入院したんだった、と気がつく。
うとうとしていると、アルマ改めツタンカーメンが怒ったように「わたし、ひとりでトイレにいくわ」と吐き捨て、よろよろと立ち上がり、点滴をもったまま仁王立ちしている。
どうやら何回か私を呼んでいたのに気がつかなかったので、ご立腹な様だ….というか、各ベッドにはブザーもあり、ナースコールもできるはずなのだが、彼女の女王様気質のせいで、呼んでもすぐに看護婦が来ないのは許せないんだろう。



なので、慌てて、彼女の後をついていった。途中「走らないで!傷にひびくからっ」としかられたりして、「なんで、生まれ故郷から遠くはなれた異国の地で不安のまま入院しているというのに、こんな丁稚キャラを演じなければならないのだ?」と、ちょっとセンチメンタルな気分に酔うものの、ここでセンチメンタルになったところで、無意味であると気がつき、丁稚に徹するのを決意する。

ツタンカーメンでない方の60代近くの女性、ロサ(彼女は「落合の妻」に似ているので、今後そう呼ぶことにしよう)は、私を呼ぶのを遠慮しているのか、私たちの部屋のまえの廊下を通りかかった人を呼んで「ベッド(手動でリクライニングの位置が調整可能)を起こしてくれ」、と頼み、その人はベッドの回転ハンドルを動かしている….元気よく歩いていたので、まったく気がつかなったが、その人は、私たちのように、綿のガウンを着ていたことから、リハビリのために廊下を歩いていた患者だったのにようやく気がつき、びっくり。おいおい、ほかの病室の患者にまでそんなこと頼むってどうなんだよ。看護婦だってちゃんといるんだし...と少々呆れていると、間髪いれずに、ツタンカーメンが、「あの廊下で歩いてたひと、昨日手術したばかりなんだから、そんな人を動かしちゃだめ!あんた、とっとと助けてやりなさい」と喝を入れてきて、私は、「いや、今助けようと思っていたところなんだから…しかし、なんでツタンカーメンはほかの病室の人が手術したこととかも把握しているのだ」...と思いつつ、「ちょっと待ってください、私がベッド動かしますので!」と優等生的に言って、きびきびと落合の妻のベッドを動かしたりした。
その後も彼女たちが風呂に入る手助けをしたり、食事の配膳までした。

そんな私の丁稚ぶりが、評価されたのか、ツタンカーメンも落合の妻も次第に親しげに声をかけてくるようになったのだった(ほとんどは、何かしてくれというお願いだが)。

どうやら、ツタンカーメンは小学校の教師らしい。先生だから偉そうなのか?
落合の妻のほうは、サッカー場を経営しているらしく、痛みに苦しみながらも、携帯で仕事の指示をしている。こんな状況でも細かいことを気にして、すごいなあと感心していると、落合の妻が、「ところで、あんた外国人だよね?どこの出身?」と思い出したようにきく。
私は日本人だと応えると、今度はツタンカーメンが、
「こんな故郷から離れた場所で何をしているの?」と訊ねる。
「いやー、それが私にもわからないんですよ」と正直に応えると、腑に落ちない顔をしているので
「いや、実はメキシコ人の男性と結婚したし、もう帰る理由もないし」と
言うと、なんだか二人ともとっても納得したというように
「それは、よかったね」と身を乗り出していた。
落合の妻「そういや、日本では家のなかで靴を脱ぐんだってね」
わたし「そうですね。メキシコでも自宅ではそうしていますよ」
ツタンカーメン「なぜ靴を脱ぐの?」
わたし「いやー、外の悪いヴァイブレーションを家のなかに持ち込まないためじゃないスかね」
(半ば適当)
ふたり「なーるほど〜(とっても満足気)」

そして落合の妻に日本つながりということで、映画『ラーメンガール』の話をさんざんされた。
と言っても、私はその映画を観たこともなかったのだが。
彼女は「あの映画に出てきたスープに麺が入ってる料理、今まで見たことがない。ぜひ食べてみたい」と
何度も言っていた。私もラーメン食べたいよ。

しかし、ふたりには、「子宮をとる手術は本当に全身が痛んで大変なのよ。麻酔が切れるともう悶絶ものよ」という話をさんざんきかされて、どんどんブルーになっていった。

ようやく面会の時間が訪れ、夫の顔を一日ぶりに見て、少し安心する。
この病室のなかでは一番下っ端の私なので、同室のふたりに夫を紹介せねばと、
「あのう、アルマさん、ロサさん、こちらは私の夫です」と言うと、
ツタンカーメンは「あなたの奥さんは一生懸命わたしたちの世話をしてくれているんですよ」と言う。
いや、私は世話のためにきているんじゃなくて、入院しているんですが…..。
私の努力を何も知らない夫は「よかったなー。新しい友達がすぐにできて。しかもすごい歳上の」と微笑んでいたが、いやー、友達じゃなくて、丁稚だよと言いたいのをこらえて、黙ってうなずいた。

ちなみに、婦人科病棟では、男性の面会時間は毎日午後4時〜6時までと決まっていて、24時間付き添いは女性のみが許される。面会は、各患者につき、ひとりしか病室へ入ることができないので、複数の面会人が来たら、交代でひとりずつ病室を訪れねばならない。24時間付き添い用のパスも、皆が皆、発行してもらえるわけではなく、落合の妻のところには、24時間パスは発行されなかったのだとか。看護婦の対応が悪く、呼んでもなかなか来てくれないし、態度もぞんざいな人が多いから、身内の付き添いがいないと、かなりつらいだろう。
幸い、私は24時間パスを出してもらえたので、明日から夫の家族が交代で来てくれることになる。
うちの父親(母親はだいぶ前になくなっている)なんて、私が手術するってわかっているくせにメールのひとつもよこさなかったのだが(ただ、うちの父親の姉である伯母だけは、いつも私のことを気にかけていてくれている)血も繋がっていないメキシコの家族がどれだけ親身になってくれていることかと考えると、本当にありがたい話だ。

明日は手術なので、昼食以降は絶食しないといけない。そして5時間くらいかけて、4リットルの水に溶かした粉の下剤のようなものを飲んで(胃腸をきれいにするため)水で腹がふくらみ、破裂しそうだ。
夜10時以降は一滴の水も飲んではいけないと言われていたが、水分摂り過ぎて、何も口にする気が起こらない。トイレに何回も起きてしまい、眠れそうにない。
深夜になって、看護婦が、これで陰部の消毒をしてから、風呂に入れと、ヨードチンキみたいな液がガーゼについたものを私に与えた。風呂に入ったあと、「朝5時に起こしにくるから、心配するな。今夜はゆっくり安め」と言われ、安心して、つかの間の眠りにつくことができた。





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[ 2012/08/31 07:41 ] メキシコ手術入院体験記 | トラックバック(-) | CM(4)
みほさん
手術をされたとのこと、その後体調はいかがですか?一日も早い体力回復を心から祈っていますよ!!
[ 2012/08/31 18:54 ] のり [ 編集 ]
> のりさま

ありがとうございます!まだ長時間の外出はできませんが、毎日納豆食べて日に日によくなってきています!
はやく自転車に乗りたいです!!
[ 2012/09/01 05:02 ] chola [ 編集 ]
お久しぶりです。日記の更新がないので心配しました(術後でいらっしゃるのに日記を期待する自分を戒めておりまする)が、コメント拝見して安心しました。一日もはやく自転車に乗れますように。
[ 2012/09/07 14:22 ] yuki [ 編集 ]
> YUKIさま

お心遣いありがとうございます!おかげさまで日を追うごとに良くなってきて、仕事もボチボチですが、はじめております。動くとすぐ疲れて寝てしまうのですが...。ブログもボチボチ更新するので、また読んでくださいね〜〜
[ 2012/09/11 07:39 ] chola [ 編集 ]
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